経営者保証に関するガイドラインとは?

そもそも「経営者保証」とは?
経営者保証とは、中小企業の経営者が、会社の借入に対して個人として保証を提供する仕組みのことです。
多くの中小企業では、法人単体の信用力が不足しているため、金融機関が融資を行う際に経営者個人の連帯保証を求めるのが一般的です。
しかしこの仕組みによって、会社が経営不振に陥った場合、経営者自身の個人資産まで差し押さえられるリスクがあります。
このような経営の自由を制限する状況を改善するために導入されたのが「経営者保証に関するガイドライン」です。
経営者保証に関するガイドラインとは?
このガイドラインは、中小企業の経営者による個人保証の慣行を見直し、企業と金融機関がより健全な関係を築くことを目的とした指針です。
2013年に策定され、2023年には見直しも行われました。
ガイドラインの目的
- 経営者の過度なリスク負担を軽減
- 事業承継の円滑化
- 法人単体での資金調達の可能性拡大
経営者保証を不要にするための3つの条件
このガイドラインでは、以下の3つの条件を満たすことで、経営者保証が不要となる場合があります。
01|法人と個人の分離
経営者の個人資産と法人の資産・資金管理を明確に区分すること。
02|財務の健全性
一定の自己資本比率や収益性を保ち、健全な財務状況であること。
03|適切な情報開示
経営や財務に関する情報を正確に金融機関へ開示し、透明性を確保すること。
この仕組みを活用することで、経営者は個人資産を担保にせず、法人の信用力だけで資金調達ができるようになることが期待されています。

中小企業が直面する課題
01|依然として根強い「経営者保証」慣行
現在も多くの中小企業では、保証なしで融資を受けるのは難しいという意識が強く、ガイドラインの活用が進んでいないのが実情です。
02|事業承継時のリスク
経営者が代替わりする際、既存の保証が後継者に引き継がれることがあり、後継者にとって大きな負担となっています。
新たな融資を受ける際に保証解除がスムーズに進まないケースもあります。
03|情報開示と財務管理の難しさ
中小企業では、経営者と法人の資産の区分が曖昧であることや、財務の健全性・情報開示に関する対応が不十分なケースも多く、保証免除の条件をクリアするのが難しい場合があります。

経営者が取るべきネクストアクション
金融機関との関係を強化する
- 経営計画や財務諸表を定期的に開示
- 信頼関係の構築を目指す
資産の分離を徹底する
- 法人名義の口座・資産管理を徹底
- 経営者個人の補填を避け、財務の透明性を高める
財務の健全化を図る
- 内部留保の積み増し
- 経費削減や業務効率化による収益性の向上
- 必要に応じて専門家(財務アドバイザー・会計士等)を活用
保証解除の交渉を早期に開始する
- ガイドラインの活用について、金融機関に相談
- 他の金融機関との取引も検討し、選択肢を広げる
この「経営者保証に関するガイドライン」は、正しく理解し、条件を満たすことで、経営の自由度を高め、企業成長にとって大きな追い風となる制度です。
「経営者保証=仕方ない」と諦めず、まずは現状の見直しから始めましょう。