中小企業を支える経営セーフティ共済の改正は?

目次

令和6年度税制改正の影響とは

コロナが終わったとは言え、中小企業を取り巻く環境が厳しさを増す中、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐためには、経営セーフティ共済(倒産防止共済)が、企業にとってリスクヘッジの重要な手段となっています。

経営セーフティ共済とは、中小企業の資金繰りを支える共済制度であり、倒産のリスクを軽減するための金融商品です。

昨年、令和6年度税制改正により、2024年10月1日から、この共済制度に関する税制面での取り扱いに一部変更が加えられることになりました。

経営セーフティ共済とは?

経営セーフティ共済(倒産防止共済)は、中小企業が取引先の倒産による影響から、自社を守るための共済制度です。

加入することで、万が一、取引先が倒産して、売掛金が回収不能になった場合、被害額または、掛金総額の最大10倍まで無担保・無保証人・無利子で借入ができる仕組みが提供されます。

これにより、急な資金不足に対応し、連鎖倒産のリスクを回避することができるのです。

掛金は、月額最高20万円まで拠出でき、累計で最大800万円まで積み立てることが可能です。

また、掛金は全額を損金算入できるため、税務上も有利な点が多いのが特徴ですね。

特に、40か月以上の掛金拠出がある場合、解約時に掛金の100%が戻ってくるため、リスク回避策としてだけでなく、長期的な資金の積立手段としても活用されています。

しかし、解約時に返金される掛金は「解約手当金」として扱われ、課税対象となることから、節税効果は一時的なものに過ぎないのです。

実質的には、税負担を将来に繰り延べる形となるため、この点を理解した上で運用することが求められます。

令和6年度税制改正の内容

令和6年度の税制改正において、経営セーフティ共済に関する、重要な変更が発表されました。

それまでは、一度解約した後に再加入する場合でも、再び掛金を損金として計上することが認められていました。

しかし、昨年の改正により、解約後2年間は掛金を損金算入することができなくなるという新たなルールが導入されました。

この改正は、節税目的で短期間に解約と、再加入を繰り返すことを防ぐための措置とされています。

具体的には、再加入した場合でも、解約日から2年間は掛金を損金に算入できないため、その期間中に拠出された掛金は税務上の経費として認められなくなります。

これにより、短期的な節税対策としての利用が制限され、中長期的な視点での計画的な共済活用が求められることになります。

▼改正による中小企業への影響

今回の改正は、特に再加入を予定している中小企業にとっては注意が必要です。

これまでは、解約後すぐに再加入して掛金を損金に算入することで、税務上のメリットを引き続き享受することができました。

しかし、改正後は解約から2年間、掛金を損金算入できないため、再加入のタイミングやその後の運用方法について慎重な計画が必要となります。

例えば、資金繰りが逼迫した際に一時的に解約し、その後再加入を考える企業にとっては、この2年間の損金不算入期間が大きな負担となる可能性があります。

掛金の拠出が続けられる場合でも、税務上の費用として認められないことで、キャッシュフローに影響を与える可能性があるため、特に注意が必要です。

また、解約時に掛金が課税されることを考慮すると、解約のタイミングも非常に重要です。

急な資金調達が必要な場合でも、解約に伴う税負担を見越して、事前に資金繰りや税負担のシミュレーションを行うことが望ましいでしょう。

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